【カンブリア宮殿メモ】伊那食品工業塚越寛の年輪経営とうんこ
毎度毎度遅れ気味ですが、ようやく観ることが出来ました!今回はジャンルがまったく異なるためメモるつもりはなかったのですが、これは面白いじゃねえか!ということで急遽メモることにしました。
長野県が誇る世界的な食品会社伊那食品工業です。
※ あくまでメモであるため、一部抜粋、実際の言葉と語尾など異なっている部分があります。大事なところは押さえているつもりです。ご了承ください。伊那食品工業についてはあまりご存知でない方はまずはこちらのサイトを見ておいた方がイメージがしやすいかと思われます。
かんてんぱぱ(伊那食品工業株式会社)
伊那食品工業の成功は「年輪経営」にあり!
年輪経営とは、業績を毎年少しずつで良いから伸ばすという考え方。小池栄子:かんてんぱぱは大人気商品だが、一部商品を除いてスーパーに置いていないがどうしてか。
塚越寛:1つはかんてんの原料はどこにもある代物ではない。需要が急激に伸びると原料の価格がすぐに跳ね上がってしまう。もう1つは値崩れをしたくない。社員が一生懸命作ったものだからこれだけはどうしても頂きたい。
塚越寛:「売上げ = 成長」ではない。売上げが上がったからといってその会社が潰れない保証はない。パイに限界のある業界では急いではならない。その裏には「確実に」という言葉がある。
働く社員の力を生む雇用体系
伊那食品工業は昔ながらの年功序列の給与体系をとり、これこそ年輪経営を支える柱となっている。さらに社員を決してリストラしない終身雇用。
村上龍:本の中で利益とは健康な企業が出すうんこと書いていたが。
塚越寛:排出物を多くするために食べているわけではない。健康になるため。健康だと良い結果も出る。企業も同じ。企業も稼いだお金は栄養として会社の隅々まで行き渡らせなければならない。一番大事なことは社員のモチベーション。十分な給料を払わなければならない。研究や社会貢献もしなければならない。残ったものが利益。
村上龍:カンブリア宮殿に出る方は利益を目的としてはならないと言う。だが利益がないと会社は潰れてしまう。利益と社員のモチベーションはどういったバランスになっているのか。
塚越寛:バランス感覚は経営者は持っていなければならない。お金の使い方は経営者に課せられた大事な判断力。究極にはうんこの考え方だと利益が出るようになるはず。
村上龍:年輪経営とはリストラなどをしないように暴飲暴食を控えるという理解で良いか。
塚越寛:ある業種がその市場を食べつくしてしまうと違う業界に行く。そこで競争が起こる。適正な競争と下等競争というものがあると考えている。適正な競争は大いにやるべきだが、価格にまで踏み込むのは下等競争である。
塚越が語る地道な努力のヒストリー!
村上龍:かんてんというマーケット規模が小さい会社だからこそ年功序列や終身雇用が出来るのではないかという人もいるのではないか。塚越寛:経営者とはそういう理由を見つけて自己満足したいだけ。そんなことはない。激しいときには40社もの競争があった。どうすれば単なる価格競争から抜け出すことが出来るのかを考えた。得た結論は新しく用途開発をすること。価格競争をしたことによって、シェアを上げたわけではない。
村上龍:売上げが上がらない場合にはリストラや人件費の削減しかないという考え方の人が多い気がするが。
塚越寛:もしこれから経営をしようと思う人がいるならそれだけ慎重にならなければならない。10年、20年先を見る必要がある。私のような中小企業はこれから起業する人の参考になると思う。
村上龍:ブームに乗るのは良くないとあったが。
塚越寛:物が売れるという背景にはブーム、いわゆるトレンド。トレンドには絶対に乗ってはならない。トレンドを自分の力と勘違いするのではなく、自分の力を付けなければならない。
まだまだ攻める!新分野開拓!
小池栄子:歯の型を取るゲルもかんてんで出来ているようだが、かんてんも新しい使い道がこれからも出てくるのか。
塚越寛:かんてんを掘り下げるということは昔からやってきた。その方が経営としては上手く行く気がする。
村上龍:年輪経営とは地味で同じことの繰り返しではダメなのか。
塚越寛:踏襲は仕事ではない。常に変えなければならない。変えるというのは必ずしも先に変化していくのではない。原点に帰るということ。会社を作った頃まで戻らなければならない。これがイノベーションだと思う。
村上龍:本の中で「serendipity」という言葉が出てきたが。
塚越寛:当社では20数年前からその言葉を掲げていた。追い求めていたものとは違う結果が出るということ。これはダメだと捨てたらそれっきり。それを考える力が「serendipity」。
塚越寛:ファン作り。これが商売では物凄く大事なこと。そのためにいろいろなことをやっている。だからガーデンを開放したり、綺麗にしたり、あの会社が好きだと言ってくれる人を増やすためにやっている。利益だけを求めるとファンは減る。
「セレンディピティ(英: serendipity)は、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。何かを発見したという「現象」ではなく、何かを発見をする「能力」を指す。平たく言えば、ふとした偶然をきっかけに閃きを得、幸運を掴み取る能力のことである。」
オフィス用品通販アスクル社長岩田彰一郎 – カンブリア宮殿メモ
毎度毎度遅れ気味ですが、ようやく観ることが出来ました!今回は僕自身と同じ通販業界に身を置き、村上龍さんにセブンイレブンとアマゾンの良い所取りだと言わしめたアスクルです。気になった点をメモっておきました。
アスクルの社名の由来は翌日配達して明日来るからアスクル。
日本のネット通販の王者であるAmazonでも翌日に届くお急ぎ便というサービスがありますが、このアスクルでは以前から現在のすぐに届くことが当たり前というのを実現していたことになります。
■ アスクルの品揃えは26万点
オフィス用品から始まり、カーナビや医療器具まで取り扱う。
注文から梱包、出荷まで20分。
■ 超顧客主義アスクル
文具メーカープラスの事業として始めたアスクル。客からの他社製品の購入や低価格を求める声を受け、他社製品を取り扱い、値段も定価より安くした。
超顧客主義アスクルの全貌
小池栄子:個人で注文は出来ないのか。岩田彰一郎:これはBtoBで掛売りだが、個人で買いたいという要望を受け、アスマルを始めた。
小池栄子:アスマルは品数的には何点くらいか。
岩田彰一郎:品数的にはまだ少ないが、これからヤフーと組んで、ネットで色々な物が買える時代に合わせ、BtoCも行っていく。
村上龍:こないだアマゾンの配送センターに行ったがアスクルに似ている。やはり合理的な配送センターは必要なのか。
岩田彰一郎:極めていくと似てくる。違うとすれば、カタログの定番、決まったものをいかに早く安く出せるか、定番型の配送センター。沢山の商品を扱うのはアマゾンの配送センターの方が向いている。それぞれの強みがある。
村上龍:どの時点で物流センターが必要でいつ作ったのか。
岩田彰一郎:スタートしたときは50坪の倉庫を借りて、私もその中で現場のおばちゃん達とどうすれば早くなるかなど話していた。その後、東京のセンターを作って、それが自分達のセンターとしては最初。
村上龍:IT全盛の時代となり、次第に紙のカタログというものは少なくなって来ているが。
岩田彰一郎:今は紙のカタログの方がネットで提供出来る見せ方よりもお客さんにとっては価値がある。これからiPadなどPCの時代では無くなる。紙以上の価値が出せる時代が必ず来る。それを作り出さなければならない。その先の時代も見つめチャレンジしたい。
「BtoBとは、電子商取引(EC)の形態の一つで、企業(business)間の取り引きのこと。企業と一般消費者の取り引きはB to C、一般消費者同士の取り引きをC to Cという。」
知られざるアスクル創業秘話
岩田彰一郎:何時間も掛けて色々な物を探して重たい荷物を持って帰る、これは変だ。大企業以上のサービスを提供しようとしたのが最初の思い。村上龍:いつから注文を受けて20分で出荷すると外に宣言出来るようになったのか。
岩田彰一郎:機械化されたのは東京のセンター。そのあたりからスピードが上がった。人手でやっていたときから、いかに早く出すかだった。アスクル(明日来る)という約束だから。
村上龍:そもそも自社製品を売るための通販のシステムにコクヨを売るというのは理解されなかったのではないか。
岩田彰一郎:営業時代はライバルの商品を押しのけて自社商品を並べた。ライバルの商品を扱うのは考えられなった。でもアスクルが本当にお客様を向いて商売をする。それを当時の社長が納得し実現した。
小池栄子:それを実現するために何回も話し合いをしたのではないか。
岩田彰一郎:そこが凄かった。正しいと思ったことはやり抜いていい。むしろ前で反対を抑えてもらった。
客の声で成長を続ける!
アスクルの本社には250人ものスタッフが勤めるコールセンターがある。ここは注文を受けるのではなく、商品の不満など客の声を聞くためだけに作られた。その声をもとに3,500もの商品を開発している。
村上龍:日本の事業所の95%は30名以下だが、どうやってそこに目を付けたのか。
岩田彰一郎:困っているのは誰か。大企業は構っていられない。BtoBをやる際にそこが自分達のミッションだった。
村上龍:実際に小さいオフィスの現場に行っているのか。
岩田彰一郎:現地・現物・現場力と言って、商品開発の人も迷ったらドライバーさんと一緒にお客様のところに行くことを自主的にやっている。みんな迷えばすぐに行く。
小池栄子:電話にはいっぱいヒントが転がっているのか。
岩田彰一郎:荷物が届いたときに「ゴミクル」と言われたことがあった。我々にとっては緩衝材だったが、お客様にとってはそれがゴミだった。ならダンボールをやめてしまおうということで、通い袋やコンテナでお客様のところに届けるようになった。
営業部隊 その意外な正体
1,200人がいるアスクル本社だが、ここには営業部隊はいない。代わりに営業を行っているのは町の文具店の人達。これまで大型店舗やコンビニの進出によって町の文具店は危機に立たされていた。今では全国に1,400ものエージェントがいる。
村上龍:結局自分達が利益を出すのではなく、どうすれば既存のシステムと今からやろうとしていることを、お客さんに合理的に届けることが出来るのか。そういうことを考えてこのようになったという理解で良いのか。
岩田彰一郎:お客様から見たときに、余分のコストが乗ってしまうとか、従来の付き合いだから余分な単価を入れるのは良くない。社会最適。社会から見たときに最も適した仕組み。社会不適というものは世の中に沢山ある。
村上龍:文房具屋に代理店になってもらうというのは、お客様の側に立つと自然に見えてくるのか。
岩田彰一郎:それが一番合理的だった。それを自分達で全てをやろうとすると膨大なコストが掛かる。分かち合う事でWin-Win-Winの関係が出来る。お客さんの立場から見ても大事なこと。
村上龍:今後アスクルのようなネットワークを作るビジネスをやりたい若い人達に何か参考になることを一言お願いします。
岩田彰一郎:正しいことをしたいと思える時代。世の中に役立つことをしたい、お客様に喜んでもらいたい。そういった理念で繋がるネットワークが大事。
JAL再生と稲盛和夫、そして京セラフィロソフィ – カンブリア宮殿メモ
2012年6月28日放送のカンブリア宮殿「奇跡のJAL再生!その全てを語る…稲盛和夫が挑んだ最後の闘い」と「「10年後」を生き抜く鉄則とは?~熾烈競争サバイバル戦術」。
ようやく見ることが出来たので気になった点をメモっておきました。
最初のテーマは「売上げを最大に、経費を最小に」です。
売上げを最大に、経費を最小に
売上げを最大に、経費を最小に。これを実現するために行ったことが以下の通り。■ アメーバ経営
社内を小さなグループに分け、そのひとつひとつに採算を採らせる。
■ 京セラ フィロソフィ
社員の意識改革のための1冊。JALフィロソフィを作成。全社員が持つ。
■ 部門別採算制度を導入
社内を670ものグループの分け、収支を管理。
■ 徹底した節約術
削減されたコストは1,100億円に達した。
■ その結果
成功の裏にあった経営陣との確執
※ あくまでメモであるため、一部抜粋、実際の言葉と語尾など異なっている部分があります。大事なところは押さえているつもりです。ご了承ください。村上龍:最初にJALに行ってみてどう思ったのか。
稲盛和夫:幹部の中には高学歴の方が多かったが、経営者としての誠実さとか一生懸命さが薄いような気がした。頭が良くてスマートだが、それだけでは経営者として上手くいかない。
稲盛和夫:盛和塾(無料)というものを経営者向けにやっているが、各地区の代表者が「このときこそ恩返しをすべきだ。この恩返しはJALの再建に協力すること。(塾生)5,000人で100人仲間を集めて500,000人でJALに乗ろう。」と駆け寄ってくれた。
小池栄子:稲盛さんのフィロソフィが伝わったということが大きい気がするが。
稲盛和夫:会社経営というのはトップの人だけがいくら頑張っても上手く行くものではない。全社員がいかに気持ちを一緒にすることが出来るか。全従業員の心を掴む。これが会社経営。
稲盛の再建術を検証
■ JAL再建のために行われたこと村上龍:残った32,000人をなんとか再建するということと16,000人に対する心の痛みは。
稲盛和夫:これまで1回もこのような解雇をしたことがない。しかし、残った32,000人を守ることが大事。そのなかで救いとなったのは、仏教の中で「小善は大悪に似たり 大善は非情に似たり」という言葉がある。小さな善は大悪に至るということ。
小池栄子:JALと京セラ用のフィロソフィで違いはあるのか。
稲盛和夫:ないと思う。
小池栄子:ひとりひとりがJALというのがすごく印象的。
村上龍:アメーバ経営のメリットはどんな組織にも当てはまるものなのか。
稲盛和夫:流通であれ、何であれ、当てはまる。航空事業は未知の世界だった。路線ごとの収支が分かるようにした。そこから飛行機のメンテナンス、整備、チケットなど、全ての部門を再編成して、採算が取れるようにした。
稲盛とともに復活劇を振り返る
村上龍:売上げを圧縮して、営業利益を上げるというのはデフレを助長すると聞くが。
稲盛和夫:それは真実。今まではどの航空会社も機材を増やして、売上げを増やして利益を上げていこうという拡大路線だったが、どんぶり勘定であった。
村上龍:稲盛さんが去ったら元に戻らないのか。
稲盛和夫:人の心には気が緩むことがあるが、そのときにはフィロソフィがある。
JALの植木新社長も登場!
村上龍:稲盛さんの変え方は厳しかったのか。
植木社長:ずっと叱られて育ってきた。笑った顔は見なかった。勤務後3時間のリーダー教育を月に18回行ってもらい吸収していった。
「経営者になりたいと思う人はまず自分の自己犠牲を払ってもそこにいる社員やお客さんを大事にしなければならない。自己犠牲を厭わない人間性を持った人でないと経営者になってはならない。」
小池栄子:植木社長自身に当てはめて、この言葉をどう思うか。
植木社長:無私という精神になれるか、社員のために社長として尽くす事が出来るのか。もう一度自分自身に問いただして、その上で受けさせてもらった。
村上龍:最近の若い経営者についてはどう考えるか。
稲盛和夫:中国の場合は拝金主義でみんなお金を求めて頑張っている。日本の場合も、今の現状をなんとか打破しようと気力を振り絞って欲しい。
新規路線に込められた思い
小池栄子:パイロット出身の植木を後継者にした理由は。
稲盛和夫:特別な理由はないが、誠実で、発言も的確、人柄も温厚、意思も強そう。特別な試験をしたわけではなく、そういった理由で彼を選んだ。
村上龍:ローコストキャリア(格安航空会社)についてどう考えるか。
植木社長:時代の流れ。どうやって競争していくのかと聞かれるが、対象とするお客さんの違いもあるため、共存していきたい。最高のサービス、最高の品質を生み出すことにより、我々を選んで欲しい。
村上龍:いわゆる成長路線などのビジョンはあるのか。
植木社長:私自身はあまり成長路線という言葉は好きではない。以前「伸びすぎた翼」と比喩された。社長就任時の挨拶の中で、夢は日本航空を世界一の航空会社にすること。こう話した。世界一というのは規模ではなく、世界一お客様に愛される航空会社にしたいということ。その結果、規模の広がりはあるかもしれない。
稲盛と植木が語るJALのこれから
村上龍:上記のことは難しいことだと思う。ローコストキャリアに変わるサービスの良い航空会社がやれることとは具体的に何だと思うか。植木社長:特効薬はない。形では何も変わらない。社員全員が自らが潰れたということを認識している。それからリスタートをかけて意識が変わった。だからこそ今の結果を生んだと確信している。
村上龍:コピーも禁止みたいになっているがどうか。
植木社長:お客様が通るところはしっかりしているが、我々がいるところは蛍光灯が4本に1本しか今も灯いていない。でも慣れると決して不便ではない。
村上龍:また民主党から、今度は東電を頼むと言われたらどうするか。
世界中のライフスタイルを変えよ!アマゾン帝国の全貌2/2 – カンブリア宮殿メモ
村上龍さんと小池栄子さんがインタビュアーを務めるテレビ東京カンブリア宮殿、2012年6月7日に放送された「世界中のライフスタイルを変えよ!アマゾン帝国の全貌」で学んだことをメモしておきます。
複数回に分けて書いています。
今回は「犬・・・化石・・・ケチ?」、「4兆円稼ぐ秘密公開」、「究極の赤字経営」、「後悔しない人生」について。
Amazon本社潜入記 in Seattle
今回の取材で取り上げられたAmazonシアトル本社の特徴は3つ■ 会社に犬を連れてきても構わない
犬を連れてきてから仕事の効率が上がった。
■ エレベーターやそこら中の壁がホワイトボード
質問を書いておけば、誰かが解決法を書いてくれる。社員同士のコミニケーションにもなる。どこでもアイデアを書き留めれるし、打ち合わせも出来る。
■ デスクは手作りでボロイ
創業時から中古のドアで作ったデスクを使う伝統、浮かせたお金はお客様のために使う、それが会社のポリシー。
「私の個人的な性格ではなく、会社として打ち出している基本方針。私たちはお客と関係ないものにお金を掛けたくない。お客はオフィスに来ることはないので家具はシンプルでいい。心地よく実用的であるべきだが、オシャレな必要はない。質素の先にあるのはお客を喜ばせるためにどうお金を使うか。お客が喜ばないことにお金を使うのは無駄遣いであり、排除すべきこと。」
人間ベゾスとは?
村上龍:どういうときに楽しいか?充実感があるか?ベゾス:一番充実感を感じるのは、問題解決のブレイン・ストーミングをチームの人たちとやるとき。何か問題やアイデアがあるときは必ずやる。例えば今2つの案があって、いずれも気に入らないなら3つ目の案を探るべき。みんなでブレイン・ストーミングしてアイデアを出し合えば自分では解決できない問題の糸口が見つかることがある。だから私はブレイン・ストーミングの時間が大好き。
村上龍:本社ではシリアス(真剣)だと聞くが?
ベゾス:そうだが、笑うこともよくある。会議はそんなにシリアスに行うものではないと思う。会議の本来の目的が失われてしまって時間の無駄。最も使えるアイデアは脱線したり、行き先が見えない会議から生まれるもの。だから会議は、ちょっとしたユーモアやジョークで始まり元気よく終わりたい。それが会議をよくする。
「ブレイン・ストーミング・・・集団(小グループ)によるにアイデア発想法の1つで、会議の参加メンバー各自が自由奔放にアイデアを出し合い、互いの発想の異質さを利用して、連想を行うことによってさらに多数のアイデアを生み出そうという集団思考法・発想法のこと。省略して、「ブレスト」「BS」などともいう。」
超話題の商品
2年前に登場し、大きな話題となったアップル社のiPad。タブレット端末の大ブームを巻き起こした。一方、最先端を行くアメリカのタブレット市場で絶好調なのが、アマゾンが作ったキンドル。日本では未発表。小池栄子:日本語対応のキンドルは出さないのか?
ベゾス:年内にはいいお知らせがありますよ(ドーン!)
究極の赤字経営
世界中にインターネットが広がった90年代半ば、当時30歳のベゾスは二度とないビジネスチャンスと見て、副社長まで登りつめた投資会社を辞め、シアトル郊外の小さなガレージでアマゾンを創業。アマゾンは先行投資により毎年大赤字が続いた。ベゾス側近の幹部はこう振り返る。
「何も心配はしていなかった。今、利益が出ていないのは将来のために投資していると分かっていたから。ベゾスはとても珍しい能力を持った人間だ。未来を見通す力を持っている。普通の企業の長期的な視点はせいぜい2、3年だが、ベゾスは10年、20年先を見ているんだ。」
■ 1997年 株式上場
ベゾスは設備投資の資金を集めるため、赤字の業績で上場し、こう言い放った。
あと数年は赤字、黒字にはならない。
さらに株主達に宛てた手紙にはこう書かれていた。
「長期的な利益やウォール街の反応ではなく、長期的な観点から今後も投資を行います。長期的な収益を重要視し、現段階では規模の拡大が必要だと考えます。」
そして、物流の起点となる倉庫を増やしていく。
■ 2000年 日本来日
このときはまだ赤字。
■ 2003年 初めての黒字決算
その後はベゾスの思惑通り、先行投資期間が過ぎ、業績は一変。今や売上げは4兆円に迫る。長期的に考え取り組んでいるからキンドルの事業も黒字化することが出来た。赤字覚悟の巨額投資が今、利益を生み出し始めている。
村上龍:アマゾンはもうダメだと言われていた期間は準備期間だったのか?
ベゾス:その頃「アマゾンはダメだ」と言っていた記者が、取材の直後に「実は私もアマゾンの常連だ」と言ってきた。データを見てみると、お客は増えているし、満足度をチェックしても問題ない。リピーターも多かった。一度アマゾンを使ったお客は何度も使ってくれていた。だから赤字の期間でも自信を持てた。インターネット・バブルで多くの会社は消えたが、彼らはお客中心の会社を作ろうとせず、ウォール街を向いていた。
1994年 | アマゾン・コムを設立 |
1995年 | 書籍販売を開始 |
1996年 | 物流センターを設置 |
1997年 | ナスダックに上場(業績は赤字) |
1998年 | 音楽CDなどの販売を開始 |
イギリス、ドイツでサービス開始 | |
1999年 | 家電、玩具、ソフトウェアなどの販売を開始 |
2000年 | ネットバブル崩壊、株式急落 |
日本、フランスでサービス開始 | |
2001年 | 3ヶ月で5.4億ドルの赤字計上 |
2003年 | 初の純利益黒字化を達成 |
小池栄子:これだけの赤字で会社を継続させることはできるのか?
ベゾス:あのときはできた。ただ赤字と言っても効率が悪いから赤字か、未来に投資しているから赤字か、で全く違う。外から見る投資家にはどちらの状態か見分けるのは困難。しかし、内側から見れば明らかに未来への投資で出ている赤字。決して無駄遣いしていたわけじゃない。
後悔しない人生
村上龍:インターネットビジネスを始めることに迷いはあったのか?ベゾス:当時の会社の上司にはもう2日考えろと説得された。遠くに行って考え私は気付いた。もし挑戦して失敗しても私は決して後悔しない。でも、もし挑戦しなかったら80歳になっても後悔しているだろうと。80歳のあなたを想像してみて、その時後悔は最小限にしたいでしょう?ほとんどの後悔は自分が怠慢でやらなかったこと。
後悔するのはやらないこと。
犬・・・化石・・・ケチ?、4兆円稼ぐ秘密公開、究極の赤字経営、後悔しない人生を振り返り
個人的には最後の後悔しない人生というテーマが心に響きました。すごく短い内容だったわけですが、上記の文だけでも力強い思いを感じます。後悔するのはやらないこと。良いじゃないですか。今はなるべく自分の限界を超えて仕事も遊びも取り組むようにしています。もちろん恋愛も。これは本業でよくあることなんですが、何もしなかったのに不満を言うということ。僕自身も不満を爆発させる性格なんですが、やるべきことをやった後の不満、何もやらなかった後の不満、これは違うものなのだと思います。
正直、進む先に障害は多いです。時には考え、時には強引に。まあ後悔を最小限に出来るよう、今をもうちょっと頑張ってみます。
世界中のライフスタイルを変えよ!アマゾン帝国の全貌1/2 – カンブリア宮殿メモ
村上龍さんと小池栄子さんがインタビュアーを務めるテレビ東京カンブリア宮殿、2012年6月7日に放送された「世界中のライフスタイルを変えよ!アマゾン帝国の全貌」で学んだことをメモしておきます。
複数回に分けて書いています。今回は買いたくなる仕掛けに関する内容です。
本題に入る前にAmazonのトップであるAmazon CEO ジェフ・ベゾフについて今一度確認しておきましょう。
Amazon CEO ジェフ・ベゾフ
スティーブ・ジョブズ亡き後、アメリカでも最も注目される経営者ベゾフ。■ 経歴
1964年・・・アメリカ・ニューメキシコ州に生まれる
1986年・・・プリンストン大学を卒業
1994年・・・ニューヨークの金融機関を経て、アマゾンの前身カダブラを設立
1995年・・・書籍販売をスタート
2000年・・・日本での事業を開始
■ 会社概要
本社:アメリカ・シアトル
創業:1994年
事業展開国:9ヶ国
全世界売上高:480億8000万ドル(2011年通期決済)
従業員:約5万6千人
「アマゾンをシンプルに言い表すなら地球で最もお客を中心に考える会社。私たちはお客の声に耳を傾ける。しかし聞くだけでは足りない。心掛けるのは何かを生み出すこと。お客が何を求めているかを予測し、お客がそれに気付く前に生み出す。」
買いたくなる仕掛け
意外や意外、最初に登場したのは本でもなく、CDでもなく、日本の農家の野菜。販売場所はもちろんアマゾン。ここに出てきた商品は1箱6万円の松茸です。この圧倒的な品揃えこそ、ベゾフが掲げる顧客主義の本流だという。■ アマゾン流顧客主義1:超品揃え
米の取り扱い数が1万アイテム以上を誇るがまだ不十分だという。
「北海道産や九州産など、品揃えを提供したら意外に売れた。47都道府県の米を扱いたい。出来ていない県があるからしっかりやり、品揃えをアピールする。」
品揃えがまず1歩。
■ アマゾン流顧客主義2:革命的機能
カスタマーレビュー:商品を購入した客が評価を投稿する
インターネットで買い物をする客にとって、これが買うか買わないかの参考になる。楽天などでも見られるクチコミ機能はアマゾンのカスタマーレビューから始まった。
他にもこのような機能がアマゾンにはある。
■ レコメンデーション機能
ユーザーの履歴などから好みに応じた商品を薦めてくれる。
■ ワンクリックサービス機能
商品の注文と決済が1回で完了できる。
「私たちの顧客主義は自分たちができることを考えて動くのではなく、お客が何を求めているのかを把握し、その後でどうやれば提供できるのかを考える。これを「逆回りの思考」と言っている。お客が求めているのは「商品を選べる、安い、早くて正確な配送」。これを実現するため、何をやるのかが大切。
私たちがやりたかったことは本を売ることではなく、お客が買うかどうか判断するためのお手伝い。だから良い意見も悪い意見も必要。お客のニーズに応えるように努力していれば、必ず信頼を得るということ。長い目でみれば買い物もたくさんしてくれる。長期的展望がなければこうしたアプローチは出来ない。」
■ インスタント・オーダー・アップデート機能
以前買ったものを知らせる機能。短期的には売上げを多少下げるが、本当にお客と同じ目線に立つなら意味のある機能。
「私たちの目標は成長ではない。お客に最高の満足体験を提供すること。」
買いたくなる仕掛けを振り返り
今や当たり前のように存在するクチコミ機能がアマゾン発信だったことに驚きました。この機能が広まったことにより、人々の物の買い方が変わりました。ステルスマーケティング、通称ステマと言われるやらせ書き込みなど多くの問題を抱えますが、この問題も近い将来解消されることでしょう。残念ながら僕たちは結果しか見ることが出来ない。上記で挙げたカスタマーレビュー機能はもちろん、レコメンデーション機能、ワンクリックサービス機能、インスタント・オーダー・アップデート機能、これらはすべて結果。過程に携わった人たちを羨ましく思います。
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